「“止める法務”ではなく、“進める法務”へ。TENTIAL法務チームが挑む、ビジネスとブランドの両立 Buddy

「“止める法務”ではなく、“進める法務”へ。
TENTIAL法務チームが挑む、ビジネスとブランドの両立

プロフィール

松村 将生

2013年TMI総合法律事務所に弁護士として入所、内閣府知的財産戦略推進事務局への出向や民間企業へ駐在等を経て、2019年に株式会社エクサウィザーズへ入社しインハウスローヤーとして勤務、2025年にTENTIAL入社。現在は事業法務や知財、コンプライアンスなどを担当している。これまでの弁護士としての経験を活かし、TENTIALのミッションである「人類のポテンシャルを引き出す」を体現すべく日々の業務に取り組んでいる。趣味は、ボクシング、サッカー観戦(横浜・F・マリノス)、バイオリン。


「守りの部署」として見られがちな法務。しかしTENTIALでは、商品企画の初期段階から法務が関与し、ブランドの価値を守りながら、事業のスピードと挑戦を支えています。今回は、そんなTENTIAL法務チームを牽引するコーポレート本部法務グループに所属する、弁護士の松村さんと、同グループで薬機法・景表法を担当する玉井さんに、業務内容からチームの哲学、法務の可能性まで幅広く話を聞きました。

「最前線に立つ法務」──ブランドづくりから商品開発まで、事業の立ち上げに並走する存在へ

――まずは、お二人の自己紹介とTENTIALの法務チームの体制について教えてください。

松村:私は弁護士として、法務チームで主に知財関連を担当しています。法務のメンバーは5名で構成されており、広告まわりの薬機法対応を担当する1名と、それ以外の機関法務・事業法務・知財を担当する4名に分かれています。

法務の業務は大きく分けて3つありまして、取締役会や株主総会などを扱う機関法務、契約書レビューやビジネスの法的支援を行う事業法務、そして知財関連業務です。私は知財領域をメインで見つつ、必要に応じて他の業務にも関与しています。

――玉井さんのバックグラウンドと業務内容はいかがですか?

玉井:私は薬学部出身で、製薬会社での臨床開発を経てフリーランスになりました。TENTIALではもともと業務委託として関わっていたのですが、2025年10月に正社員としてジョインしました。現在は主に薬機法や景品表示法などが関わる広告表現に関連した業務を担当しています。

TENTIALでは一般医療機器を扱っているため、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に届け出を行う必要があります。その届出自体は別の部署が担当していますが、その後の「商品をどう訴求するか」について、法務が深く関与しています。たとえば、あるブランドイメージで商品を企画しても、薬機法の観点でそのままの表現は使えない場合があります。そうならないように予め、法務としてルールの範囲内で可能な訴求ができる商品を企画できるよう事業部と一緒に調整するのが私の最初の役割です。

――法務が商品開発の初期から関与するというのは、少し珍しい印象です。

玉井:そうですね。TENTIALでは「ブランドイメージづくり」の段階から法務が関わることが多くなっています。商品コンセプトと表現のズレが生じると、商品完成後に大きな修正が必要になることがあります。そうなると時間もコストもかかってしまいますので、最初から「法律的に言えること」「ブランドとして言いたいこと」の両方を見据えたうえで、商品づくりが進むようにしています。

「止めるのではなく、前に進める法務を」──事業部と伴走する姿勢がカルチャーに

――TENTIALの法務チームとして、事業部との関わり方について、どのような意識を持たれていますか?

松村:TENTIALの法務は、事業部のプロジェクトに積極的に入り込むことを前提としています。私自身も入社してから、事業部の業務内容を理解し、契約交渉に参加するなど、タイミングに応じて適切にサポートすることを意識してきました。

知財でも、商品開発の初期段階ではサンプルや仕様の詳細が見えないため、他者の特許権や商標権を侵害していないかどうかの判断は難しいのですが、サンプルがあがってくる段階であれば回避することができますし、商品の修正も可能です。TENTIALの法務として、事業のスピードを止めることなく、適切なタイミングでリスクを察知し予防することを心掛けています。

――「止めたいわけじゃない」というスタンスが、事業側にも伝わっているんですね。

玉井:はい、むしろ事業部のメンバーからは、「法務は一緒にどう進めるかを考えてくれる」と言っていただけることが多いです。TENTIALには中途入社のメンバーが多く、前職で法務に対してネガティブな印象を持っていた方も少なくないのですが、TENTIALの法務はかなり寄り添ってくれるという声を聞きます。

私たちが大切にしているのは、言葉を尽くすことです。ただ「ダメです」と伝えるのではなく、「こういう理由で難しいけれど、こういう表現なら可能です」と提案する。そうすることで、事業部側も「最初から法務に相談しながら進めよう」となり、結果的にスムーズに進められるようになります。

――事業部側との信頼関係が、チーム全体の文化として根づいているのですね。

松村:これまで事業部が個人の判断や経験則で行っていた商品名や表現の確認を、社内でフロー化していきました。その際、事業部側も、どのタイミングで法務に相談すべきなのかについて積極的に協力してくれました。

加えて、我々のチームには”落ち穂拾い”を自然と引き受けられるメンバーが集まっているのも特徴だと思います。社内で誰も拾っていない宙ぶらりんの案件を、社内のハブとして適切な関係者に繋げるというのは、様々な事業部と接点のある法務ならではの機能だと考えています。こういった行動は、法務の仕事が増えてしまうため、余計なことをするんじゃないという意見もあるところです。しかし、今の当社の法務チームでは皆積極的に拾いにいってくれるので、社内連携をストレスなくやれる文化があるのは、非常に働きやすいですね。

玉井:松村さんのように、積極的に他部署と関わる姿勢を見せてくれる存在がいることで、チーム全体が「これぐらいやってもいいんだ」と感じられるようになりました。逆に「どこまで関わっていいのか分からない」と迷っていたメンバーも、背中を見て学び、自然と同じスタンスで動けるようになる。そういう意味でも、法務チーム内での相互作用がうまく働いていると感じています。

知財戦略と法務のアップデート──「守り」だけでなく「価値を創る」知財へ

――知財領域については、松村さんが専任で担当されているとのことですが、どのような方針で取り組まれているのでしょうか?

松村:私が入社するまでは、知財関連の対応について専任の社員がいなかったため、どうしても対応が後手に回る傾向がありました。知財を権利化し、会社のブランド価値の向上を図るために、まずは「発掘」から着手しました。研究や開発の現場にヒアリングを行い、どこに特許の種があるかを探る活動をスタートしています。

加えて、実は既に特許出願はしていたものの、審査請求がされていない状態の案件がいくつかあったんです。特許制度上、出願だけでは審査は始まりません。審査請求をしなければ、いつまでも特許にならない。狙いがあって審査請求をしないのであればいいのですが、「出願したまま放置されていた」案件もあったので、必要な手続きに着手するところから整備を始めました。

――知財を「リスク回避のため」だけでなく、「ブランド価値を高める武器」として捉えているのですね。

松村:その通りです。TENTIALの商品はパジャマやインナーなど、形状がシンプルなものも多く、せっかくの工夫が分かりにくい側面があります。そのため、「価値ある技術がどこに使われているか」を掘り起こし、どう権利化をするかが鍵になります。現在は商品の企画段階で担当者と話をして、特許になりそうなアイデアを発掘し、権利化するといった活動を行っています。

TENTIAL法務チームのこれから──海外展開、組織拡大、そして仕組み化への挑戦

――今後、TENTIALがさらに事業を拡大していく中で、法務に求められる役割も変化していきそうですね。

松村:TENTIALは国内だけでなく、海外への展開も始まっています。さらなる事業の拡大に法務がしっかりとついていける体制を整えていくことが、大事だと感じています。

たとえば海外展開に関しては、各国で医療機器や広告表現に対する規制が異なります。国によっては届出なしで疲労回復を広告として訴求できるケースもあれば、逆に日本より厳しく医療機器として臨床試験データの届出等が必要なケースもあります。そうした制度の違いをきちんと理解し、適切にリスクを把握し、判断していくことが重要です。

――体制づくりの観点では、どのような課題がありますか?

玉井:事業が成長すれば、そのぶんチェックすべきポイントも増えていきます。私一人で確認していたことが、将来的には物理的に回らなくなる。だからこそ、今からAIやシステムの導入を視野に入れた「仕組み化」が必要だと考えています。

実際に以前、広告表現の法務チェックを自動化する仕組みを一部試作したこともありました。ただ、その際はリアルタイムでのルール変更や細かなニュアンスへの対応が難しく、かつ最終的には人がチェックすることが必須であることなどから業務効率化のバランスなどを考え、一度は止めておりました。現在は海外展開などを見据えてAIをうまく活用することが必須となりつつあるため、改めて、より精度の高いツールの構築、仕組み作りに向けて検討を進めている段階です。

――最後に、TENTIAL法務に興味を持つ方へ、どんな方と一緒に働きたいかメッセージをお願いします。

松村:TENTIALの法務は、商品開発やデザイン、マーケティングなど他部署と積極的に関わり、事業全体を理解しながら動ける人が活躍できる環境です。どんな契約を締結するにしても、その背景にある「なぜ」が分からないと良い仕事はできません。そうした探究心や柔軟性を持った方と、ぜひ一緒に働きたいですね。

玉井:知財や薬機法などの経験がある方も大歓迎ですが、なにより「新しいことをやりたい」という意欲を持った方に来ていただきたいです。法務という枠にとらわれず、事業の成長に貢献したいという気持ちを持っている方なら、TENTIALというフィールドはきっと大きなやりがいを感じてもらえるはずです。